構造検査前に図面と異なる店内が出来上がった場合(その2)
前回の記事は
構造検査前に、あらかじめ警察署に提出した図面とは異なる店内が完成した時に
早めに図面を作成して提出します、
という内容でしたが、
今回の記事では再度提出する図面で注意したいポイントをご案内します。
「あらかじめ提出した図面と異なる店内が完成した」
ということは、お客様の好みが変わった、という理由もありますが
それ以外に「構造上変更しなくてはならなかった」という理由もあります。
そうなってくると面積やレイアウトの変更だけでなくそれ以外の変更もある可能性があります。
お客様から「どこどこの変更があるよ」というご報告があることがほとんどですが、
行政書士事務所ネクストライフでは、そのご報告をもとにそれ以外の項目も必ずチェックします。
その際弊所がチェックしているポイントを以下ご案内します。
具体的にチェックする項目とは・・・
構造検査前に、工事が完成し更に提出した図面と完成後の店内が異なる場合、弊所は下記の項目をチェックします。
・店内のレイアウト(区画、面積、イス・テーブル・・・)
・1メートル以上のモノのチェック
・照度(明るさチェック)
その他
店内のレイアウト(区画、面積、イス・テーブル・・・)
完成後の店内と、既に提出した図面が異なる場合に、まず初めにチェックしないといけないのは「店内のレイアウト」です。
その際特に注意しないといけないのは「区画、面積、イス・テーブル」です。
「区画」の変更があると必ず「面積の変更」が発生します。そもそも区画が変更すれば面積を算出するための計算も変化します。
ですから、どのように区画が変更したのか確認してまずは「測量」から再度行っていき測量に基づき求積表を作成し、求積表から改めて「営業面積」「客室面積」を算出します。
この時注意したいのが、「客室面積」です。基本的に客室が1室であれば問題ないのですが「2室以上」あれば面積制限があります。
具体的に言うと和室の部屋であれば「9.5㎡以上」、それ以外の部屋であれば「16.5㎡以上」の広さが必要です。
弊所では「和室以外の部屋」が圧倒的に多いので結果として「16.5㎡以上」無くてはならず、和室タイプの客室に比べ多めの広さを設けないといけないことになるわけです。これについては「せっかく2室にしたものの、1室が16.5㎡未満で使用できない」という事が無いようにしないと経費が無駄になってしまうので注意したいところです。
そして「イス・テーブル」。これはイステーブルが以前提出の図面と同じように配置されているかということです。
もし、店内レイアウトに変更があったり新たに工作物が作られている場合には、イス・テーブルの配置も変更しているケースが多いです。
イス・テーブルの配置が異なっていたり、イス・テーブルの数が提出図面と比べて少なかったりすると
構造検査の際には指摘される可能性が高いので必ずイス・テーブルについてもチェックします。
1メートル以上のモノのチェック
「客室内に見通しを妨げるものがないこと」が風俗営業1号のクリアしないといけない要件です。
ですから、工事完成後に提出された図面と異なる店内が出来上がった場合には
必ず1メートル以上のモノの在る無しを確認します。
1メートル以上のモノがすぐに撤去可能であればいいのですが、撤去できず例えば床に固定されているような場合には
残念ながら撤去のための工事が必要になることもあります。
照度(明るさチェック)
店内のレイアウトに変更があったり、新たに工作物が設置されると「照度(明るさ)」の問題が発生します。
例えば、、、、
店内の区画の変更によりイス・テーブルの配置に変更があると、
変更後のイス・テーブルを照らす証明がその場所にあるかが重要になります。
基本的には照度を測る時は、「テーブルの上」「イスの上」で行います。
ですから移動した先のテーブル・イスの上で照度が保てない場合は(5ルクス以下はダメ)
改めてイス・テーブルのレイアウトを考えるか、イス・テーブルの設置個所に照明を設置することを考えないといけません(照明を設置した場合は、新たに照明を追加した音響照明配置図を作り直さないといけません)。
照度が保てていない場合は次のことが考えられます。
・変更後の場所に人が座るとどうしても人が影になり照度を保てない。
・変更後の場所に1メートル以上ではないが工作物があり、その工作物がどうしても影になってしまう。
こういった場合には対策を考えないといけません。
その他
その他、として挙げることは・・・
最終的な見直しとして
図面通りの店内構造になっているかのチェックです、、、、が
それ以外の事項として
「外から容易に店内が見えないか」
「18歳未満の立ち入りの禁止のプラカード等が掲示されているか」
「店内の客室が2室以上ある場合に施錠の設備がないか」
何かも確認します。
これらは店内工事の完成と関係していないようで、
実は店内の工事を進めていくうちに確保できていなかった事項です。
少し限定的になってしまうかもしれませんが・・・
店内の入り口のドアを当初設置していたものと変更したことで
ドアにある小さな飾り窓の存在に気づかず「外から容易に内部を見通すことができる」と見なされて
再度構造検査を受けることがありました。
ドアの変更は「図面には載ってこない」ものなので油断しがちですし、小さなガラスがはめてあるドアであるとついつい見落としがちですが、そういったことについてもチェックを怠らないようにします。
「18歳未満の立ち入りの禁止のプラカード」ですが、これも元々入口ドアにプラカードが設置してあったものが風俗営業許可の申請中にそのドアを変更してしまったり、そもそも工事で大忙しと言うこともありプラカードの掲示を忘れていた、、、というケースも多々あります。ですから理由はともあれ弊所では「18歳未満の立ち入りの禁止のプラカード等」のチェックも必ず行います。
「店内の客室が2室以上ある場合に施錠の設備がないか」ですが、
事例をあげると、アンティーク調のおしゃれな店内を2部屋にし、その一方にアンティークのドアを設置したのですがそのアンティークのドアンに昔風の施錠の設備がそのままになっていることがありました。
また、透明ガラスのドアを設置した時、ドアの下部に鍵の設備がついているものもありました(よく自動ドアにあるタイプの鍵の設備)。
お客様の中には「これは大丈夫でしょ!」という方もいらっしゃいますが、
評価するのはあくまで生活安全課の担当者なので、
そういった事情を考慮に入れて対応をしていくことが重要です。
店内工事に入るならば計画的なスケジュールと構造設計を!
いかがでしたでしょうか?
図面提出後に店内レイアウト等を変更することは少なからずあります。
ですが、上記にある通り店内レイアウト等を変更するといろいろな事項について改めて確認しないといけません。
確認を忘れてしなうと、構造検査をクリアすることができず再度構造検査をしなくてはいけないことになります。
また、計画的な工事をしないとそもそも風俗営業許可の要件をクリアしていないことになるかもしれません。
そうなってしまうと工事のための大きな出費が必要となりますし、
スケジュールもどんどんくるってしまいます。
そういうことが無いように計画的な工事、スケジュール管理を心掛けましょう。