風俗営業許可の手続きは、審査期間が最低でも55日ありますが、その間に管轄警察署の担当者による「構造検査(店舗検査)」が行われます。
この構造検査が無事クリアしないと風俗営業許可の取得はできません。
果たして構造検査ではどのようなことがなされるのか、本記事では行政書士事務所ネクストライフの経験と多少の持論に基づきご案内していこうと思います。
弊所では年間40~50の風営法関連手続きを行っており、構造検査の立ち合いも数多く行ってきました。また弊所事務所の所在する千葉県だけでなく関東圏内の風俗営業許可の手続きも行ってきたので、都道府県により異なるルールも合わせてご案内できればと思います。
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風俗営業許可における「構造検査」の内容は?
構造検査は「風俗営業許可申請の手続きの際に提出された資料通りに店内が整備されているか」を中心に確認する検査です。
具体的には店内の現状と「求積図」「平面図(イス・テーブル配置図)」「音響照明配置図」とその詳細書類を照らし合わせて、現状が提出資料と間違いが無いか確認していきます。
その他、店舗周辺の状況を確認したり、メニュー表や看板等も確認することがあります。
具体的に構造検査を顧みる
多くのケースでは、担当者の方が2名店舗に来られ構造検査が進められていきます。
手分けして店内を確認していくこともあれば、2人で検査を進めていくこともあります。
多くの場合、下記について調査を行います。
①店内測量
②イス・テーブル等測量
③明るさの測定
④騒音検査
⑤その他
風俗営業許可の手続きの際に提出した「求積図」に照らし合わせて、店内を測量していきます。巻き尺による測量を一番見てきましたが、レーザー測定器等にメジャーでの計測も合わせて測量するケースもあります。
弊所の感覚では、測量と求積図の間に「2cm以上」の「ずれがあると、警察署担当者から修正が入ることが多い感があります(独断)。
中には、円を描くようレイアウトなど複雑な形をした部屋もありますので、そのような場合は「計測の仕方」と「求積計算の方法」をご案内しながら立ち合っていきます。
客室内のイス・テーブル等「客室内の見通しを妨げる可能性のあるもの」を全て測量していきます。
また提出した資料に「記載のないもの」があるか確認をしていきます。
「明るさの測定」では、風俗営業許可取得後に来店するお客様が着席するテーブルにおける照明の明るさを中心に図っていきます(テーブルの上、イスの上、床の上での照度の計測)。その他、照明が提出した図面(音響照明配置図)通りに設置されているか確認していきます。
店内から発する騒音がどれだけ店外でうるさいか計測をします。カラオケ等がある場合はカラオケを使用して図ります。カラオケが無い場合には、担当者の方が持参している騒音を発する機器(拡声機?防犯ブザーなど)を使用して計測されます。
その他、下記のようなことを確認します。
〇外から容易に内部を見通せないか(窓がある場合はフィルム等を貼って内部が見えない)
〇飲食店営業許可証が額に入れられ掲示されている(茨城県)
〇「飲食店営業許可証」「メニュー表」「外の店看板」等の「店舗の名称」が同一(群馬県、茨城県、千葉県その他多数)
〇入口に「18歳未満の方の入店禁止」の看板等
〇店舗周辺の状況確認
など
「外から容易に内部を見通せないか」については、窓のある店舗につては窓にフィルムや板等が貼ってあり、外から見えないか確認します。よく「カーテンで閉め切っていれば良いのでは?」という意見がありますが、カーテンですと容易に開け閉めが可能なので絶対的に認められません。
「飲食店営業許可証の掲示」は茨城県の手続きにおいて強く求められました。実際、飲食店営業許可証の掲示が出来なかったために再検査となった事例があります。
「飲食店営業許可証」「メニュー表」「外の店看板」等の「店舗の名称」が同一であること、は多くの都道府県で求められますが、特に群馬県では「外看板の作り直し」まで発展したことがる程協力に求められた事例があります。
店舗周辺の状況の確認では、店舗周辺に保全対象施設が無いか確認をしたり、保全対象施設までの距離がギリギリである場合に確認します。宇都宮市では高性能の測定機により保全対象施設までの距離を測定することがあります。
構造検査が行われる時期は?
通常、風俗営業許可の手続きをしてから3週間から1カ月で「構造検査の日取り」の連絡が警察署の担当者からあります。
手続きの際に「書類の不備」等があると、正しい書類が提出されてからでないと構造検査を行わないという担当者がいたり、構造検査の時に正しい書類を持ってきてくれればOKという担当者います。
構造検査がクリアしなかった場合
もし、図面通りの店内になっている場合は、改めて再検査となることがあります。例えばあまりにも求積図と現状が異なっていたり、照明の照度が風営法を満たしていなかったりした場合、改めて再検査となることがあります。
手続き時に提出した図面のレイアウトを忘れてしまい、図面とは関係のないイス・テーブルのレイアウトにして構造検査に臨むというケースがよくあるので注意しないといけません。
構造検査が終わると、最終段階
構造検査が終わると、最終段階(書類を本部に送付⇒本部にて書類が精査されて問題なければ許可証の発行)となります。しかし、上記のように構造検査を首尾よくクリアできなかった場合やそもそも構造検査まで時間がかかってしまった場合は、審査機関の55日を超える可能性があります。
群馬県は消防関連手続きと風俗営業許可手続きが連動している。
群馬県での風俗営業許可は、消防関連手続きが完了していないと風俗営業許可の許可証の発行は絶対に行われません。そういう意味では、風俗営業許可を取得するには「飲食店営業許可」「消防関連手続き」「風俗営業許可」の3つの手続きに向き合わないといけないこととなります。
消防関連手続き(使用開始届、防火管理者選任届、消防計画その他)の手続きが完了しており、管轄消防署から「問題なし」の回答を得ることが出来なければ、構造検査に進むことが出来ないので要注意です。
構造検査は都道府県や警察、担当者により異なることがある
いかがでしたでしょうか?
構造検査は、基本的には同じ目的で進められるものですが、都道府県や管轄警察署そして担当者によって進め方や求められるものが違うことが多々あります。
さらに、どういった検査を行うか事前に調査しておかないと「看板の修正」のように大きな資金が必要な事態に発展する可能性もあります。
できることなら風営法や風俗営業許可の手続きの経験をたくさん積んでいる専門家に依頼した方が安心です。