飲食店営業許可の手続きに備え、必ず調理場内の構造をチェックしてからお店を賃貸しよう!!
お店で調理をして、調理したものをお客さんに提供する場合
「食品営業許可(飲食店営業許可)」が必要になります。
飲食店営業許可は各都道府県や政令指定都市及び中核市により、クリアすべきポイントが異なることが多々あります。
その中でも基本となるべき事項についてここではご案内していきます。
特に間違ってしまうと後から工事をしなければならないなど
「金額的な負担がかかりかねないポイント」
については特に区注意が必要です。
本記事はそんな可能性を少しでも少なくするためのものです。
本記事で、確認していただいたのちに店舗の賃貸をしていただき、
飲食店営業許可の手続きをしてください。
※※※
本記事はあくまで各都道府県、地区町村に共通する事項についてご案内しており、その地域独自のルールがある可能性がありますので、必ず管轄の保健所窓口に確認してください。本記事のみに基づく賃貸物件や手続き上の不備等は責任を負いかねます。
飲食店営業許可・共通チェック項目一覧
2つ以上のシンクと、それぞれのシンクに独立の蛇口 | 調理場の中に2つ以上のシンクと、それぞれのシンクに蛇口。 |
お湯が出る | シンクにある蛇口からお湯が出る。 |
換気扇 | 換気扇は開閉式になっており、防虫設備が備わっている。 |
スタッフ用の手洗い | 調理場内にスタッフ用の手洗いがある。ほとんどが36cm(幅)×28cm(奥行)以上。 |
食器棚 | 使用する食器を全部収納できる食器棚で、戸がついており閉じることができる。 |
生木の設備 | 調理場内の木製設備には塗装がされ、生木のままでない。 |
壁、天井、床などの穴などが無い | 壁、天井、床などは穴や壁紙等の剥がれがない。 |
天井の作り・構造 | 天井にほこりがたまらないつくりになっている。 |
床から1メートル程は耐水性の壁 | アルミ、耐水性のクロスなど洗いやすい構造。 |
冷蔵庫 | 飲料・食品などが保管できる冷蔵庫。 |
冷蔵庫の中に温度計 | 冷蔵庫の中に温度計を設置。 |
排水溝 | 排水箇所にはフタがあり防虫対策が取られている。 |
ゴミ箱 | 蓋つきゴミ箱。 |
調理場の明るさ | 50ルクス以上。 |
調理場の扉・ドアの大きさ | 客室との間にあるドアはウエスタン・ドアでよいが、それ以外は通常のドアでなければいけない都道府県がある。 |
お客様用の手洗い | トイレを使用していても使える箇所に設置する場合、トイレ内に設置しても大丈夫な場合など都道府県により異なるので注意が必要。 |
各手洗いに水せっけん、消毒液、紙お手拭き | スタッフ用の手洗い、お客様用の手洗いに設置が必要。設置方法は都道府県により異なる可能性。 |
客室の明るさ | 10ルクス以上。(ただし風俗営業1号の場合は5ルクス以下ではダメ、深夜営業は20ルクス以下はダメ) |
店舗の窓に網戸 | 調理場、客室、トイレに窓がある場合は網戸の設置が必要。 |
2つ以上のシンクと、それぞれのシンクに独立の蛇口
飲食店営業許可を取得する場合、
調理場内には必ず「2つ以上のシンク」とそれぞれに独立した蛇口が必要です。
これは全国共通のルールです。
まれにシンクが1つしかない居抜き物件があったりするので注意が必要です。
調理場内のシンクの数は下記からより詳細な記事を見ることができます。
お湯が出る
中にはなぜか油断して「ガスの契約を店舗検査までしていなかった」というケースがちらほらあります。
保健所による店舗検査の際には、必ずお湯が出ることを確認しますので、
もしお湯が出ない場合は、改めて店舗検査になります。
換気扇
換気扇が設置されている場合は、使用している間のみ開閉し、使用していない場合は外と遮断されている設備が備わっていないといけません。
換気扇はネズミや虫が調理場に入る進路になる可能性があるので、
遮断設備を備えて侵入を防ぎます。
スタッフ用の手洗い
調理場内にスタッフ用の手洗いの設置が必要です。
サイズは多くの場合「36cm(幅)×28cm(奥行)以上」が求められます。
あまりに小さい場合には「基準を満たした洗面器」の設置を求められることもありますので店舗を賃貸する前に確認しておきましょう。
食器棚
調理場内に必ず「食器棚」が必要です。
食器棚は、戸で戸締りすることができる構造でないといけません。
またすべての食器が収まる大きさでないといけません。
生木の設備
調理場にある設備・・・食器棚、上部に設置された棚、入口の扉、カウンターなどが生木のまま(塗装されていない木のまま)である場合は、塗装を求められることがあります。
調理場は水を使用するため生木に水がかかることで気が腐り、腐った木くずが食べ物に混入する恐れがあるからです。
壁、天井、床などの穴などが無い
壁や天井、床などに穴がある場合は、「穴を埋めること」を求められることがあります。
大きさにもよりますが、、、、
例えば壁に続く配管周りに隙間や、穴がある場合にはそこからネズミ等が侵入することを防ぐため「ちゃんとふさいでください」と求められることがありますし、壁の細かい画びょうの後について「ほこりがとどまる可能性があるからふさいでください」ともとめられたこともあります。
天井の作り・構造
天井は、「ほこり等」がたまらないような構造であることが求められることがあります。
例えば天井が高く、天井と調理場の間に木の骨組みがあるような作りの場合は
「ほこり等がたまらないように間を仕切ってください」と求められたことがあります。
その他上記の理由で配管ダクト、照明器具等が露出しないことなども求めらる可能性があることが注意が必要です。
床から1メートル程は耐水性の壁
調理場内は、床から1メートルは水がかかる可能性などがあり、耐水性の壁にすることでダメージを防ぐ構造でなくてはなりません。
また耐水性にすることで清掃にも優れた構造が求められます。
冷蔵庫
飲食店営業許可を取得する上で、冷蔵設備は必ず必要です。
また冷蔵庫の中には食料品のみが保管されていなくてはなりません。
以前「大型冷蔵庫の内部に食料品と食器を補完する」というお話が飲食店を始める方からありましたが、「内部が区画されていない以上一緒にしてはならない」と指導を受けたことがあります(もし食料品が腐敗している場合に、食器に付着してしまう可能性)。
冷蔵庫の中に温度計
冷蔵庫の中に温度計を設置することが求められます。
単に冷蔵庫の中にあれば良い、という場合もあれば、
冷蔵庫内部の温度が外からわかるように設置しなさい、という場合もあります。
また家庭用の冷蔵庫のように「冷蔵庫」「冷凍庫」と区画されている場合にはそれぞれに1つずつ温度計の設置を求められる場合もあります。
排水溝
排水溝がある場合には、防虫ネットなどフタがされていることが必要です。
排水溝はゴキブリやネズミの出入り口になりやすい箇所なので、
そういったものが出入りしないよう防虫対策等がなされていることが必要です。
ゴミ箱
調理場内に「フタつきのゴミ箱」が必要です。
特に大きさまでは求められていないことが多いですが、ハエ等の衛生害虫の侵入や繁殖を防ぐため、汚液や汚臭がもれない材質のものであることが必要です。
調理場の明るさ
調理場内の明るさは50ルクス以上が求められます。
以前調理場内が暗いケースがありましたが、
明るくするための対策を求められ、
照明設備を後から設置するケースがありました。
調理場の扉・ドアの大きさ
基本的に調理場は、他の部屋と区画されていなければならないことが鉄則です。
そんな中
「客室に面している出入口についてはスイング・ドア(ウエスタン・ドア)のような腰高のドアでも構わない」
「それ以外の部屋に面している入口は通常の扉・ドアにしなければならない」
という都道府県もあります。
入口についてはあらかじめ保険所に問い合わせた方が良いかもしれません。
お客様用の手洗い
お客様用の手洗いは、調理場以外に必ず必要です。
大きさは「従業員用手洗い」と同じく
「36cm(幅)×28cm(奥行)以上」を求められることが多いです。
問題は設置場所です。
トイレが共用個室のみの場合「トイレの個室の中でも大丈夫」という取り扱いもあれば
トイレで用を足しているときも使えるよう「トイレの外に設置しなさい」という取り扱いもあります。
トイレの設置場所を間違えると
再検査と工事費用が掛かりますし、時間も浪費してしまいますのでご注意ください。
各手洗いに水せっけん、消毒液、紙お手拭き
手洗いのそばに「水せっけん」「消毒液」「紙お手拭き」の設置を求められます。
ただ、
その設置方法は都道府県ごとに異なることが多いです。
「洗面所の付近にあれば良い」というケース
「洗面所の付近に固定して設置」というケース
「洗面所の付近に水せっけんのみ固定」というケース
など様々です。
そして、、、、
設置ができていない場合、
ほとんどは設置したものを撮影して後日提出というケースが多いのですが、
中には「もう一度再検査」というケースもありました。
ですから、
あらかじめこれらの設置については管轄保健所に確認しておいた方が無難です。
客室の明るさ
客室の明るさは「10ルクス以上」というケースがほとんどです。
飲食店営業許可を取得後に
「風俗営業許可」
「深夜種類提供飲食店営業許可」
を行う場合には部屋の明るさがそれぞれ
「5ルクス以下となってはならない(風俗営業1号)」
「20ルクス以下となってはならない(深夜種類提供飲食店営業)」
となります。
店舗の窓に網戸
入口以外の窓で開閉できるものについては、
網戸の設置を求められます。
網戸を設置することで防虫対策をする必要があります。
忘れがちなのが
調理場にある窓や、トイレにある窓です。
申請手続きの前に必ず確認しましょう。
飲食店営業許可を取得するなら、お店を賃貸する前に上記について確認しておきましょう
飲食店営業許可は、書類の作成・収集については
頑張れば作成することができるでしょう。
問題は、
飲食店営業を始めようとする店舗の設備が、
許可を受けるのにふさわしいか、ふさわしくないか
を判断することです。
一生のうちに何十もの手続きをするのであれば、
知識・経験も身につくと思いますので問題ないかもしれません。
しかし通常は手続きの経験は
1~2度くらいではないでしょうか。。。。
ですから、
リスクを減らすためにも
まずは本記事でどのようなリスクがあるかをご確認いただいてから
賃貸物件を探すことをお勧めします。