飲食店営業許可の「必要書類」についてのお話し【何度も手続きしている行政書士が解説】

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飲食店営業許可のルールについては、下記の記事からご覧いただけます。

【飲食店営業許可の取得の基準】を何度も手続きしてきた行政書士が解説

飲食店営業許可の「必要書類」は、「ルールをクリアしていること」を証明するための資料です

飲食店営業許可の手続きを行うときには、
法律で定められた「必要書類」を準備して提出することが必要になります。

しかし、
必要書類を作成・収集していく際に、
記載すべる内容というのは、「店内設備」「人の要件」についての情報です。

具体的に言うと、
実際に飲食店を始めるお店がどのような状態であって、
どのような方が食品衛生責任者になる方等を記載していきます。

ですから、
そもそも飲食店営業許可のルールを理解していないと
必要書類の作成・収集が難しくなります。

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飲食店営業許可の手続きを、専門家に依頼したい方はこちらの記事をご覧ください。

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「飲食店営業許可」についての基礎知識のおさらい

飲食店営業許可の取得のルールについて、
ここでは簡単にご案内させていただきます。

基準は全部で5つ

飲食店営業許可を取得するためには、
大きく「4つ」の基準をクリアしないといけません。
5つの基準は下記の通りです。

〇 欠格事由に該当しないこと(これからやる人が法律違反をしていないこと)
〇 施設基準をクリアしていること
〇 食品衛生責任者がいること
〇 検便検査を受けていること

以下順番にご案内していきます。

欠格事由に該当しないこと(これからやる人が法律違反をしていないこと)

食品衛生法に違反して処罰された過去がある場合は飲食店営業許可をもらうことができませんが、処罰があった時から2年が経過していれば大丈夫です。

具体的には下位の通りです。

(その1)
食品衛生法又はこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないこと。(食品衛生法という法律なんかに違反して処罰されたことがなければ大丈夫です。)

(その2)
食品衛生法第54条から第56条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しないこと。(飲食店営業許可を取り消された過去がなければ大丈夫です。)

(その3)
株式会社、合同会社などの法人が行う場合は、法人の役員が上記のいずれかに該当しないこと。(法人の場合は役員の人をチェックして大丈夫でしたらOK)
過去に飲食店営業許可をもって飲食店を経営していて、何らかの違反をした結果処罰を受けたり、許可を取り消されたことがあった場合にはその時からの経過年数を確認してください。

施設基準をクリアしていること

施設基準では、調理場とトイレを中心に、法律上のルールのクリアを求められます。
例えば下記のような施設基準がありますので注意が必要です。

〇 調理場内に2つ以上のシンクがある
〇 お湯がでる
〇 調理場内に従業員用の手洗いがある
〇 食器戸棚の設置
〇 冷蔵・冷凍設備の設置

上記のような基準をクリアしているということを
必要書類の中で説明していきます。

またそれぞれの厨房設備などが、
厨房内でそこに位置しているか「平面図」も作っていかなければいけません。

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飲食店営業許可の基準については、下記の記事からご覧いただけます。
【飲食店営業許可の取得の基準】を何度も手続きしてきた行政書士が解説

食品衛生責任者がいること

「食品衛生責任者」とは、店舗で食中毒や食品衛生法の違反を起きないように、食品衛生上の管理運営を行う責任者のことです。
店舗ごとに1名以上いないといけません。

食品衛生責任者については
食品衛生責任者になれる人の基準があります。
以下のいずれかに該当していれば、その人は食品衛生責任者になることができます。

〇 食品衛生責任者養成講習会を受講する

〇 資格を持っている
資格がない場合は「食品生成責任者講習」を受講すれば大丈夫です。
また都道府県・各自治体によっては申請するときに受けていなくても「あとで必ず受けます!」という誓約書を提出すれば、とりあえずは飲食店営業許可の手続きは受領されるケースもあります(ただし、必ず講習を受けたのちに修了証のコピーを提出しないといけません)。

「資格」については栄養士、栄養管理士、調理師などの資格が該当します。
これらの資格を持っているとそれのみで食品衛生責任者となることができます。
(手続きの際に、資格者証の原本とコピーを持参し、資格者証の原本の確認の後、コピーを提出するのが一般的です。)

飲食店営業許可の必要書類をつくっていく

上記は「千葉県の飲食店営業許可の様式」です。
他の都道府県、他の保健所では様式が若干異なることがありますが、
記載すべきことはほぼ共通しています。

それでは、
ポイントとして①から⑤までありますので順々にご案内していきます。

「①手続きの時まで空ラン」の件

ここの年月日には「手続きの日の年月日」を記入しますが、
保健所などの窓口に行くまでは記入はしないでおいたほうが無難です。


もし間違いがあって「再度出直し」の場合は
「次の日」にまた来ることになるのですが、「年月日」は「次に来た時の年月日」を記載しないといけません。

一旦書類を担当者の方に見ていただいて「これで間違いないですよー」となった時に「年月日」を記載します。

「②住民票に記載してあるままの内容が無難」の件

この欄には「住所」「郵便番号」「氏名」「氏名のフリガナ」「電話番号」「生年月日」を記載していきます。

ここで「②住民票に記載してあるままの内容が無難」とご案内しているんですが、「飲食店営業許可」は「どのような住所でも通ってしまう」可能性があります。これはちょっと怖いお話です。

例えば、行政書士事務所ネクストライフで「飲食店営業許可」のご依頼を「Aさん」から受けたとします。「Aさんは、現在どちらに住んでいますか?」と聞いたとき「千葉県千葉市中央区○○○です」とおっしゃるのでその住所を、この欄に記載していきます。

でも「住民票があるのは千葉県船橋市・・・」で「住所を移していない」という事実があった場合どうなるのか(要するに「船橋市」で住民票が取れる状況ですね)・・・、
それでも「飲食店営業許可」は取得できる可能性が高いです。なぜなら飲食店営業許可の手続きでは「住民票」を提出する必要がない、からです。

しかし、この飲食店営業許可は「風俗営業1号許可」のために取得するものです。そして「風俗営業1号許可」の方では「住民票」を提出しなくてはいけません。風俗営業1号許可の申請書には「住民票どおりの」住所を記載するのが基本というか・・・そうしなければいけません。

どういう状況かまとめますと、Aさんは飲食店営業許可では「千葉県千葉市中央区○○○」と記載して、風俗営業1号許可では住民票通りの「千葉県船橋市・・・」となりますので、おかしなことになっちゃいます。これが判明したらどうなるのでしょか??

結論から言いますと「飲食店営業許可証の変更」の手続きが必要になります。
風俗営業1号許可の提出資料として「飲食店営業許可証のコピー」は必ず求められますが、飲食店営業許可証には、「氏名」と「住所」がバッチリ記載されていますので、住民票の表記と異なる場合は「飲食店営業許可証の変更」手続きが必要になります。そうすると

その分「時間のロスがでる」ことになるのでお店の開店時期が遅れるわけです。

というわけで、住民票通り記載していたほうが無難ですよ、とお話したわけです。

もちろん「『今住んでいないところ』に住民票があってそれをそのまま記載する」というのも正直アウトです。

なぜなら現に住んでいないわけだからです。
これは風俗営業許可の際はもっと厳しくなって例えば、そこに住んでるか確認するために「公共料金の領収書のコピーを提出してください」というところもあります。

実際に住んでいるところの公共料金の住所、氏名を確認して「この人は本当にここに住んでいるのか」を確認するわけです。

群馬県などは「面接調査」というものがあります。
風俗営業を行う人のもとに訪ねて確認するわけです。ですから、こういうケースの場合はすぐに現在住んでいる住所に変更するようにしてください。

飲食店営業許可を取得するのが株式会社や合同会社などの「法人」の場合は、法務局で「履歴事項全部証明書」を取得し、「住所」には履歴事項証明書にある「所在地」、「氏名」には「会社名と代表取締役の氏名」を記載します。
生年月日の欄は「空ラン」で構いません。

そして、必ず「印」の箇所に印鑑を押してください。個人の手続きの場合は「個人の印鑑」、会社での手続きの場合は「法人印(会社印:法務局に登録している印鑑)」で押します。

風営法との兼ね合い
風俗営業許可や深夜営業許可の手続きの際、飲食店営業許可証の「申請人」「申請人の住所」「店舗の住所」が一致していないといけません。風俗営業許可や深夜営業許可では「住民票通りの記載」を求められることが多く、そのため「飲食店営業許可証の住所」が住民票通りの表記でないと、飲食店営業許可証の住所の変更を求められることがあります。中には「飲食店営業許可証の住所が表記通りに変更されない限り、風俗営業許可の審査は進みませんよ」という警察署もあります。


【参考・飲食店営業許可証(食品営業許可証)】

「③新規にチェック」の件

新たに飲食店営業を行いますので「新規」の箇所を○で囲みます。

「④」の件

ここには、「営業所の所在地」「営業所の名称、屋号または商号」「営業設備の大要」を記載していきます。

「営業所の所在地」についても、風俗営業許可や深夜営業許可を取得するのであれば、それらの申請書と同一の内容にしましょう。

所在地については、基本的には「住居表示」で記載していきます。
「住居表示」は郵便物が届く住所の表示ですが、その正式な表示はお店の住所の「市区町村」で確認できます。市区町村に電話で「住居表示を知りたいんですけで」ということをお話すると教えてくれます。

その他「電話番号」を記載する欄があります。
ここにはお店を始めたあとの「お店の電話番号」を記載しますが、固定電話でもいいですし携帯電話でも構いません。

「まだ決まっていない」という場合は「空ラン」にしておいて、そのことを担当者にお話してください。決まったら後日報告します(店舗検査の時までに電話番号の情報を求められることが多いです。)。

続いて「営業所の名称、屋号または商号」。
ここには「お店の名前」を記載します。
風俗営業許可や深夜営業許可を行うのであれば当然、そちらの手続きと店舗名を統一しないといけませんが、度々統一できていないことがあります。

例えば、飲食店営業許可の手続きの方では頭に「クラブ」がつくのに風俗営業1号許可の手続きの方では頭に「クラブがない」ということも実はちらほらあります。

飲食店営業許可証が発行されてからそのような状況に気づいた場合、
残念ながら「飲食店営業許可証の変更」の手続きが必要となることがありますのでご注意ください。

看板の「お店の名称」
お店には普通「看板」を付けますが、その看板に記載されている「お店の名前」についても「飲食店営業許可証」「風俗営業許可証」と同じ名前に統一しなさい、という警察署からの指導をうけることがあります。以前群馬県某所にて、3つの看板の名称それぞれが違うケースがあり、全て「飲食店営業許可証」「風俗営業許可証」の店舗の名称とと一しなさい、というものでした(看板が「クラブA」「A」「クラブA~駅前店」というように全て表記が違っているケースでした。)。


「営業設備の大要」については多くの場合、
「別紙」として様式が用意されています。
そこには記載すべき項目がいくつかあり、それについて答えていけば大丈夫です。
後ほどご案内します。

「⑤」の件について

前述した「欠格事由に該当していませんよね」という欄です。

過去に違反等がなければ両方とも「該当なし」とか「なし」と記載してもらえれば大丈夫です。

別紙の「営業設備の大要」では、調理場を中心に天日内の設備内容を記載していきます

別紙として「営業設備の大要」を記入していきます。
営業設備の大要についても、都道府県により、保健所により様式はまちまちですが、記入すべき事項はだいたい共通しています。

この様式には「厨房内にどのような厨房機器が設置され、それらはどのように法律のルールをクリアしているのか」を記入していきます。

この様式については、前述している通り特に「飲食店営業許可の法律上の基準」を理解していることが大切です。

飲食店を行うお店を確認して、記入をします。

「①建物」

建物については「建築様式」「面積」「位置」の3項目で確認されます。
これら項目については賃貸借契約書と建物の全部事項証明書を確認しながら○をつけていきます。

「建築様式」の上の段は「店舗の造り」についてです。
当てはまる箇所に○をつけ、該当しない場合はカッコ内に記載します。

下の段は「店舗はどのようにつくられたの?」について回答していきます。
大体が既にある「既存」でしょうかね。

下の段右側は「店舗を所有しているのか」「賃貸なのか」を回答します。賃貸の場合は「借家」に○をつけます。

建物様式
建物様式については、その物件の「全部事項証明書」を取ると詳細を確認することができます。記入していきます。全部事項証明書は都道府県地方法務局やその支局で取得することができます。

「②作業場」

この欄では「天井」「内壁」「床」「採光照明」「換気」「防虫防鼠」「洗浄設備」「従業者用手洗い」についての記入をしていきます。

主に「造り」について回答していくのですが、その中でも「ポイント」を上げていきます。

「内壁」は床からおおむね1メートルは耐水性で洗いやすい材質のものでないといけません。なのでよくあるパターンが床から1メートルまではアルミ板が貼られている調理場がよくあります。ただアルミ板でなくても「耐水性で洗いやすい材質」であれば他のものでも問題ありません。

「床」についても水洗いができる材質のものが求められます。
よくあるパターンはコンクリートですが、これも「水洗いができる材質のもの」であれば問題ありません。

「換気」について、「フード」は「ガスコンロ」を使用する場合は必須です。
「採光証明」では、十分な明るさがあるかを確認されます。窓の数と証明のワット数、個数を回答します。

「防虫防鼠」について、各窓には必ず「網戸」が必要です。
また排水口がある場合には蓋や金網がある等も回答します。

「洗浄設備」では2槽以上のシンクが必ずないといけません。
「2槽シンクでないといけない」という決まりはありません。1槽のシンクが厨房内に2つ以上あれば大丈夫です。

「従業者用手洗い」スタッフ用の手洗いが調理場が1つ以上必ずないといけません。そして多くの場合、「石鹸(石鹸水)」「タオル(紙タオル)」「消毒液」を設置することが求められます。

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シンクの数、レイアウト、蛇口は非常に大切な項目です。詳細は下記の記事からご覧いただけます。

厨房内・調理場のシンクの数やレイアウトには決まりってあるの??(飲食店営業許可の決まり)

「③食品取扱設備」

この欄は「食器戸棚」「冷蔵設備」「食器具の消毒」で構成されています。

「食器戸棚」食器を害虫等から守り保管することが必要なため、
扉がついているものでないといけません。

扉でちゃんと閉じることができないと食器棚として認められません。

「冷蔵設備」では「冷蔵庫」「冷凍庫」は中に必ず温度計を設置します。
「食器具の消毒」ではどのように食器類を消毒するかについて回答します。

「④給水設備及び汚物処理設備」

「使用水」「廃棄物容器」「便所」の項目で構成されています。

「使用水」では「水道水」か「井戸水」かどちらかを回答します。

「廃棄物容器」ではフタ付きのゴミ箱が必要です。

「便所」は、「お客さん専用か従業員と共同か」「くみ取りか簡易水洗か水洗か」回答していきます。

トイレ専用の洗面器は必ずないといけません。
このトイレ専用の洗面器は、都道府県や保健所により、その設置場所が異なるケースがあります。
例えば千葉県や東京都は「トイレの中に」洗面器があっても良いのですが、
群馬県や茨城県は「トイレの外」に洗面器の設置が求められます。
お客様がトイレを使用している場合でも洗面器を使用することができるように、という理由です。

洗面器の設置場所を間違えると
工事と費用が発生しますのでご注意ください。

その他

その他上記様式で聞いていないけれど、
必ず求められる基準として、「洗面器周辺に『水せっけん』『神お手てふき』『消毒液』を設置する」ことが挙げられます。

少し困るのが「都道府県ごと・保健所ごとに設置の仕方が異なる」ということです。

例えば「洗面器の周囲に設置してください(洗面器の周辺にあれば良い)。」という保健所もあれば、「洗面器の近くに『固定して』設置してください」という保健所もあります。「固定して」という場合は近くの壁等に箱を設置し(釘等で固定しないと落ちてしまいます)その中に水せっけん・紙お手ふき・消毒液を入れる、というやり方があります。

東京都某所では「『水せっけん』のみ固定して設置」というケースがあり、店舗検査の際に設置が確認できなかったために、再度店舗検査ということがありました。

必要書類と「飲食店営業許可の基準」は連動しているので、基準をしっかり確認しましょう

飲食店営業許可の必要書類は、枚数としては少ないですが、
「飲食店を始める店舗が現在どのような状況で、ちゃんと基準をクリアしています」ということを説明するための大切な資料です。

ですから
まずは基準を確認して、さらにローカルルールを確認して
その上で必要書類の作成に挑んでいきましょう。

ローカル・ルール
都道府県や保健所ごとにある独自のルール。例えば・・・「トイレの洗面器の位置」「水せっけん・紙おてふき・消毒液の設置方法」などが挙げれます。

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ローカル・ルールの確認などあらかじめ保健所に確認しておいた方が良いことを下記記事にまとめてあります。

食品営業許可の手続きをするのに、あらかじめ保健所に確認する「6つ」のこと

開業時の資金は大丈夫ですか?

飲食店の開業時には大きな資金が必要です。
 自己資金で何とか踏ん張っている方もいらっしゃりますが、残念ながら自己資金のみで開業した方の廃業率はとても高い結果となっています。
 

なぜなら開業時には大きな経費(家賃、厨房機器、内装工事、人件費、広告宣伝費・・・)が発生し、さらに開業当初は赤字が続くケースが一般的だからです。

そのような状況でも耐えられる資金が無いと、せっかく開業したのにとても不安定な状況が続いてしまいます。

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