風営法専門の行政書士が「風営法」「風俗営業」の種類や該当する業種や罰則をやさしく解説

行書士 まつばら
行書士 まつばら

本記事をご覧いただきありがとうございます。本時期では風営法や風俗営業についてご案内しております。長い記事となっていますので、ご興味のある箇所をご覧いただいても良いかと思います。

風営法とは

風営法は「地域社会の善良・清浄な環境維持」「少年の健全な育成」を目的に「風俗営業」「性風俗営業」の規制し、これらの営業の健全化のため、その業務の適正化を促進するための法律です。

風営法の第1条では下記の通り風営法の目的が規定されています。

この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

風営法は、それ以外にも風営法施行令、風営法施行規則、風営法都道府県条例といった法令により具体的かつ細かいルールが記載されています。

行書士 まつばら
行書士 まつばら

風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。
略して「風営法」「風適法」等と呼ばれています。

風営法において、風俗営業はどのように記載されている??

風営法では、前述の目的を達成するために風俗営業を規制しています。ではどのような面で風俗営業は規制されているのか、行政書士事務所ネクストライフが考える代表的な規制の内容はざっくり以下の通りです。

① 風俗営業の「営業」について規制
② 風俗営業の「場所」についての規制
③ 風俗営業の「店内の構造・設備」についての規制

風俗営業とは

「風俗営業」というと、「エッチなお店」のイメージが世間的にあるのではないでしょうか。しかし、風営法では「風俗営業」と「エッチなお店」は明確に区分けされていて、「風俗営業」は実はそのような営業ではないのです。

上記のような「エッチなお店」は、風営法では「性風俗関連特殊営業」と言います。


では「風俗営業」ってどんな営業であったり、お店のことを言うの?と言いますと、
ざっくり言うと「地域社会に悪影響を及ぼしかねない営業(独断)」のことを言います。

風営法で規定されている風俗営業の種類は全部で5種類

そのような影響を及ぼしかねない営業として風営法では現在5つの種類の風俗営業が規定されています。

〇 1号営業(社交飲食店)
キャバクラ、ガールズバー、スナック、メイドカフェ、コンカフ、クラブ、ホスト、フィリピンパブ、外国人パブ、ラウンジなど

〇 2号営業(低照度飲食店)
とても暗い飲食店

〇 3号営業(区画席飲食店)
区画された客席の広さが5㎡未満の区画された飲食店

〇 4号営業(遊技場系営業)
パチンコ、まーじゃん、射的などのお店

〇 5号営業(ゲームセンター経営業)
ゲームセンター

上記の風俗営業を見たとき、それぞれ関連がありそうだったり、全然関連がないよね!というような営業が並んでいるように思えます。
例えば、1号営業と2号営業、3号営業は「飲食店」という関連があります。
しかし、ぱちんこ店に必要な4号営業と1号営業には「営業的な関連性っある?」って思いませんか?

これらの営業で共通していること、それは・・・・

規制をしないと社会的な営業が大きい


ということです。

そういった営業について風営法で規制をしたうえで基本的に営業を「禁止」とし、希望者に申請手続きをさせて審査の結果風営法のルールをクリアしていると認められた時に限り「許可する」という制度となっています。

風俗営業ではないが、風営法で規定されている営業

続いて、下記の営業は風営法では「風俗営業」とされてはいないものの、風営法上で規定されている営業で、風俗営業と比較されることが多い営業なので合わせてご案内しまます。

〇 深夜酒類提供飲食店営業
居酒屋、バー、ガールズバー、ダーツバー、シガーバー、ゲイバー、バル、小料理屋、焼き鳥屋など

〇 特定遊興飲食店営業

(0時以降に行う場合)クラブ、ディスコ、ダーツバー

深夜酒類提供飲食店営業」は、お酒を提供することがメインの飲食店が深夜の時間帯(具体的には午前0時から午前6時まで)の間に、引き続きお酒を提供する飲食店営業のことを言い、許可ではないものの、許可に似たような届出手続きをする必要があります。

特定遊興飲食店営業」は、2016年の法改正の際に新たに追加された風営法上の営業で、深夜の時間帯に遊技設備をもうけたりして、お客さんに積極的に遊ばせて楽しませる営業のことを言い、こちらの営業を行う場合には、許可手続きが必要となります。


それでは、まずは風俗営業について順番にご案内していきましょう。

風俗営業1号・・キャバクラ・ガールズバーなど「接待」のある飲食店

キャバクラやクラブ、ホストクラブなどはお酒を提供するものの、、どちらかというとキャストとお客様がイチャイチャすることが目的だったりします。

ボディータッチや、顔と顔の距離が近かったり、普通の飲食店とは一線を画する「お客様をその気にさせるような接客」が行われる営業です。

このような「お客様をその気にさせるような行為」を「接待」と言い、接待を行う飲食店営業は風俗営業1号として風営法では規定されています。

ガールズバー、スナックは「深夜酒類提供飲食店営業届出で大丈夫!」という噂のような話もありますが、とんでもない!!「接待行為」があるならば必ず「風俗営業許可」が必要になります。逆に接待行為が無いのであれば「深夜営業許可」でも構いません。

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風俗営業1号許可の詳細を徹底解説!キャバクラ、クラブ、ガールズバーの開業者は必見!

キャバクラ、ガールズバーに必要な風俗営業1号許可を丁寧にご案内!【何回も手続きした行政書士が解説】
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何が「接待」に該当するのか、いろいろな角度から風俗営業1号の「接待」を解説していいます。

風営法専門の行政書士が、風俗営業1号の「接待」の判断基準を解説

風俗営業1号許可が必要な業種

たとえば、以下のような業種は風俗営業1号許可が必要になります。

・キャバクラ、スナック、ラウンジ、クラブ、ホストクラブ、ガールズバー、ボーイズバー、ゲイバー、メイドカフェ、コンセプトカフェなど


最近ではメイドカフェ、コンカフェ等も風俗営業として、厳しい規制の対象になっています。
またアミューズカジノでは、風俗営業5号だけでなく、風俗営業1号の取得も求められる都道府県もあります。

風営法専門の行政書士が、秋葉原(千代田区外神田某所)のコンカフェ・メイドカフェの風俗営業許可を申請した件

風俗営業2号・・客室がうす暗い飲食店

「接待行為をしない」場合でも、薄暗い光の中で飲食店を営業する場合には「風俗営業(2号)」に該当しの風俗営業許可が必要になります。例えば店内の明るさが暗い男女が集うにはいい雰囲気のバーなどが考えられます。

この風俗営業2号の存在は気をつけたいところで、接待なども行わず、大人の空間をつくるために行っていただけなのに、暗くして営業していたために無許可営業に該当する可能性もあるわけです

世間ではあまり知られていない風俗営業2号、お酒を提供する飲食店様からすると意外な落とし穴かもしれません。。。

風俗営業2号許可が必要な業種

薄暗い飲食店、暗闇バー、など



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薄暗い飲食店を運営するには風俗営業許可が必要です。低照度飲食店について解説しています。

暗い飲食店の運営に必要な風俗営業2号(低照度飲食店)てどんな営業? 風営法専門の行政書士がご案内します。

最近では「暗闇バー」という種類の飲食店の出店がありますが、今まで普通のバーを行ってきた飲食店が、客室内の照明の明るさを暗くして行っている事例も見受けられます。

その場合に気をつけたいのが、風営法で定められている「場所」の要件。風営法では風俗営業が行える場所が制限されているので、例えば既に飲食店が行われている場所の用途地域が「住居系」であるにもかかわらず、薄暗い照明による営業をしてしまうと、その場所での風俗営業許可の取得は絶対にできませんので、「無許可営業」となってしまいます。十分にお気をつけください。

風俗営業3号・・狭く区画した席で、お酒などを提供する飲食店

「接待行為をしない」場合でも、暗くない場合でも「狭い席で区画されている」場合には風俗営業許可が必要になります。とても狭い店舗での営業は特に、「席の区画」について気を付けないといけません。
ただ、こういった営業は非常に少ないの現状で風俗営業3号の許可申請は、とても少なく都道府県によっては申請件数「ゼロ」のケースも多々あるとのことです。

風俗営業3号許可が必要な業種

見通すことが困難な壁や仕切り等で区画した客席のある飲食店

例えば・・・、プライベート空間を楽しむために、他の空間からプライベート空間を見ることができない客室などが該当します。風俗営業3号はほぼ、申請件数が無いのですが、行政書士事務所ネクストライフとしましては「風俗営業3号許可」は大きな可能性がある」と考えています。

〇 「大切な日」にプライベートな空間でお酒を料理を楽しんでもらう飲食店


〇 カップルが2人だけの時間を過ごすための飲食店

他飲食店と差別化を図る方法として風俗営業3号を取得して営業するのも悪くないのではないでしょうか?


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風俗営業3号の詳細は下記のページからご覧いただけます。

風俗営業3号(区画席飲食店)

風俗営業4号・・「勝ちたい!気持ち」をそそる恐れのある遊技をさせる営業

まーじゃん店やパチンコ店など「射幸心(運で幸せをつかみたいという気持ち)をそそる恐れのある遊技」をさせる営業は風俗営業許可に該当し、営業する場合には「風俗営業許可」が必要になります。

裏を返せば「許可なく射幸心をそそる恐れのある遊技機を利用して営業してはダメ!」ということになります。

「射幸心をそそる」とは「『運にまかせて、幸せいなりたい!』という気持ちをさそう」ことを言います。もっと言うと「勝ちたい気持ちをあおる(あくまでネクストライフ的見解)」を言います。

風俗営業4号許可が必要な業種

まーじゃん店、パチンコ店、射的場 など

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風俗営業4号についての詳細は下記のページでご覧いただけます。

風営法専門の行政書士が風俗営業4号をご案内(ぱちんこ、まーじゃん、射的場の営業者必見)

風俗営業5号・・ゲームセンター、アミューズメントカジノ

本来のゲーム機としての用途ではなく、違う用途として用いることで「射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの」にすることができるようなゲーム機を設置しているようなゲームセンターなどは風俗営業許が必要になります。

もっと言うと、

「勝ちたい気持ちをあおるようなゲーム機」を設置する場合には風俗営業許可が必要になります。
例えばパチンコ店にあるようなパチンコ、スロットがゲームセンターにある場合などが該当します。

風俗営業5号が必要な業種

ゲームセンター、アミューズメントカジノ、など



ゲームセンターに必要な営業(風俗営業5号営業)【千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・東京都・神奈川県・埼玉県に対応】

深夜酒類提供飲食店営業(風営1号とよく比較される!)


風俗営業許可ではありませんが、
よく風俗営業1号許可と合わせて引き合いに出される「深夜酒類提供飲食店営業届出」、こちらは「許可」ではなく「届出」であり、風俗営業1号を行うのか、又は深夜酒類提供飲食店営業を行うかで迷っている、、という方は結構いらっしゃいます。

深夜酒類提供飲食店営業は「お酒を提供する飲食店が深夜の時間帯におこなう営業」で「接待行為」は禁止されています。イメージとしては居酒屋さんや、バー等が深夜の時間帯(午前0時から午前6時の間)におこなう営業です。
この深夜の時間帯に営業する場合に必要なのが「深夜酒類提供飲食店営業届出」となります。


【やさしく解説】深夜営業(深夜酒類提供飲食店営業)の届出までのやり方を手続きを専門の行政書士が語る

ここでよく問題に上がるのが「接待」です。
「接待」とは「お客さまとイチャつく行為」「お客さまをその気にさせる行為」です。

例えば
「特定のお客様に、ずっとついて談笑する」
「お客さまとデュエットする」
「お客様の身体に触れる」
なんかは完全な「接待行為」です。
更にこれらを接待であると評価するのは「警察署生活安全課」です。

「深夜酒類提供飲食店営業」では接待行為は禁止されています。
接待行為が許されているのは「風俗営業1号許可」だけです。

風俗営業を行うには「風俗営業許可」が必要


風俗営業を行うには、許可が必要になります。

具体的には、管轄する都道府県公安委員会に対し、営業所ごとに上記1~5号のいずれかの風俗営業について、許可を取得するための手続きを申請しないといけません。手続きの窓口は店舗の住所を管轄する警察署生活安全課です。


風俗営業は全て許可制となっています。
「許可」とは、禁止となっていることについて、認める行政行為を言います。
ですから、風俗営業はそもそも禁止されている営業ということです。

その禁止されている風俗営業について、許可申請を行い許可を得ることで
その営業が可能となるわけです。

許可と届出の違い

風俗営業は、それぞれ営業スタイルが違うため、風営法の要件も異なる

上記風俗営業の1号から5号ですが、前述の通りそれぞれの営業がだいぶ違うのがわかると思います。1号は接待ありの飲食店、2号は他に比べて暗い飲食店、3号は狭い客席の飲食店、4号はギャンブル色のある営業、5号はゲームセンターで、1~3号は飲食店、4号・5号はアミューズメントといった感じでしょうか・・・

そして風俗営業はそれぞれ営業スタイルが異なるため、風営法で定められた要件が、異なる部分があります。
例えば風俗営業1号の場合は、客室は16.5㎡以上必要ですが、風俗営業2号では5㎡以上、3号は5㎡以下、4号はそもそも広さの要件がありません。

そのため、どのような風俗営業を行うか予定であるか、により賃貸する物件や内装工事も変わってきます。

店舗建物の大きさは?高さは?明るさは?風俗営業の構造・設備要件をチェック!  1つ共通していることをあげると「地域社会に大きな影響を与えかねない営業」ということです 。地域社会に大きな影響を与えかなないから風営法という法律で規制し、この法律では業務の適正化を通じてその健全化をはかることを目的としています。またこれだけ営業スタイルが違うので「それぞれに違う規制」が風営法でなされています。その違いがよく表れているのが「構造・設備」についてのルールです。構造・設備は、店舗の営業スタイル、来店するお客さん等を考慮し「店内の様子」「明るさ」等が営業ごとに違っていたりします。

参考 店舗建物の大きさは?高さは?明るさは?風俗営業の構造・設備要件をチェック!風営サポート

風営法は時代とともに改正されていく


他の法律もそうですが、 風俗営業もたびたび法律が改正されてきました。 
大きな改正は最近で言えば「風俗営業の統廃合と新設」です。平成28年6月24日前は「1号営業」と言えばキャバレー等(ダンス・接待・飲食)で「2号営業」は料理店等(接待+遊興又は飲食)でしたが、今は統合されて「1号営業」となりました。統合前は1号営業、2号営業の「構造・設備要件」も違っていました。それまであった4号営業(ダンス)については風営法から姿を消しました。

このような
 大きな改正もあったりい小さな改正はたびたびあるのが風営法です。 風俗営業を行う方々は自身の営業がこの先できるか、できないかにかかわる重大な要素ですから、チェックを怠らないようにしなくてはいけません。

まとめ

風営法が「環境や、少年の育成から守るために、風俗営業を規制していること」「風俗営業は複数業種があること」「風俗営業を行うには、『風俗営業許可』が必要であること」など分かったと思います。

そして、風営法を無視した風俗営業を行うと、重い罰則が適用される恐れがあります。
そうならないためには、風営法を理解し、営業すること以外にありません。


行政書士事務所ネクストライフは、風営法や風俗営業、風俗営業許可でお困りの方の申請サポートや、法務サポートをしております。

風営法、風俗営業、風俗営業許可でお困りの方はお気軽に行政書士事務所ネクストライフにご連絡ください。