風営法1号の店舗を決める際には、まず「店内レイアウト・面積」「設備」が基準に合うかを確認する必要があります。店内レイアウト・面積、設備には風営法の規則がありその基準を満たす必要があります。
もし風営法上の基準を確認しないまま店舗を賃貸してしまった場合、風営法1号の許可が発行されないといったケースも考えられます(内装工事が完成していたら大きな損害となります)。
そのため、
この記事では施行規則第7条の7項目を解説し、あなたの候補である店舗が基準を満たしているか、どの設備を直すべきか、どの項目から手を付けるべきかの計画のヒントをご提供していきます。
風営法1号の構造・設備基準は「7項目」で判定する
前述した風俗営業1号(接待飲食店)の「店内レイアウト・面積、設備の基準=構造・設備基準」は
次の7項目となります。
店舗の内見をする際には、下記の7項目について確認する必要があります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 客室の床面積 | 客室の床面積は、和風の客室は9.5㎡以上、 それ以外は16.5㎡以上が基準です。 ただし、客室が1室のみの場合の扱いがあります。 |
| 客室の内部が外部から容易に見通せないこと | 客室の内部が、営業所の外部から容易に見通せる状態は不可です。 出入口付近の見え方、ガラスの仕様などが対象になります。 |
| 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと | 客室内に、見通しを遮る設備(おおむね1m以上)を置けません。 ついたて、パーテーション、大型の棚などが典型です。 |
| 不適切な写真・広告物・装飾等を設けないこと | 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備は設置できません。 |
| 客室出入口の施錠設備を設けない | 客室の出入口に施錠設備を設けられないのが原則です。 ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口は例外があります。 |
| 照度(5ルクス以下にならない) | 営業所内の照度が5ルクス以下とならないように、 維持するために必要な構造又は設備が必要です。 調光器(スライダックス)が設置されていてはいけません。 |
| 騒音・振動(条例数値を超えない) | 騒音又は振動が、条例で定める数値に満たないように 維持するために必要な構造又は設備が必要です。 |
実際には、全てを満たす物件はなかなかありません。
例えば、スライダックスが設置されていたり、照明が少ない、見通しを遮るものが設置されている等は度々目撃されます。
そのためどの地域で店舗を構えるか、その地域でお気に入りの店舗を見つけられた場合どれくらいの改修工事の費用が発生するか、売上・収益計画でいつ頃回収できるか、等の仮説・ケーススタディを繰り返しながら物件を選定していきます。
客室の床面積
風営法施行規則では
「客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を九・五平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を十六・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。」
と規定されています。
よくある要望として「16.5㎡未満のVIPルームを作りたい」というものがありますが、本規定によりそれは現在のところ不可能ということになります。
客室については、下記の基本ルールの基づき「店舗内のどこに客室を設ける」か定めていきます。
客室の定義
「客室」は、客に接待をして客に遊興又は飲食させる場所です。
そのため単に店内の広さを確認するのではなく「顧客に接待する場所」を特定していく必要があります。
その際に気をつけないといけないのが、後述する客室に見通しを妨げるものが無い場所を選ぶ、ということです。
客室が1室の場合
客室が1室の場合は前述の床面積のルール「16.5㎡/1室、和風の場合9.5㎡/1室」が適用されません。
そのため1室の場合は広さが満たなくても構いません。
客室が2室以上ある場合
床面積のルール「16.5㎡/1室、和風の場合9.5㎡/1室」が適用されます。
もし各客室のうち1室のみ16.5㎡以上ある場合には、
その1室のみ風営法の客室として適用されます。
もし各客室が5部屋あるばあいにおいて全ての客室が16.5㎡未満である場合には、
そのうちの1室のみを客室として定めます。
客室が1室である場合は床面積のルールが適用されないからです(逆に言えば4室はお金の稼げない部屋となります)。
カウンターは「飲食・接待の場に含まれる」場合は客室とみなす
カウンターについては、カウンター上で飲食をしたり、キャストとの会話など接待が行われる場であれば
客室とみなされます。風営1号営業を行う場合であって、カウンター前にカウンターチェアが設置されている場合は基本的には「カウンターは客室」とみなされます。
一方、カウンターでは飲食や接待の提供は行われず、カウンターチェアも設置されていなければ「客室から除外」され得ます。
客室の内部が外部から容易に見通せないこと
風営法施行規則では
「客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。」
と規定されています。
非常にシンプルな規定ですが、以下のような見落としがよくあります。
窓や入口は要注意
居ぬき物件のうち、以前風営法1号の許可を得ずに飲食店を行っていたケースでは、
外から容易に内部が見られないための対策が行われておらず、
何の対策もされないまま申請、実査まで進み、
実査の時にはじめて外から店内を容易に見通すことができることが判明した、
というケースを聞いたことがあります。
そのようなことが無いよう、各部屋の窓、入口には十分に気を付けてください。
どのように対策するか
一番多いケースは窓にフィルムを張る方法です。
その他、客室内部が容易に見通せない方法=窓からのぞいても内部が見えない状態をつくるのであれば、
たとえばベニヤを張り付ける方法も、特に問題ありませんし、
最近ではホームセンターのテープタイプのクロスを貼るケースもありました。
「カーテンを設置することで外から客室なう部を見通すことができないようにする方法はどうか?」
というご質問を度々受けますが、答えは「できません」。
なぜなら、カーテンは外から客室内部を見通すことを継続してできるものではなく、
人の手で容易に収納し、外部から見通すことができる状況を作り出すことができるからです。
そのため、継続し外から容易に見える状況をつくることができない固定化された設置の方法が必要です。
今のところ言われたことはありませんが、念のため管轄警察署に相談をします。
曇りガラスについても今まで言われたことはないですが念のため管轄警察署に相談をします。
客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
風営法施行規則では
「客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。」
と規定されています。
見通しを妨げるものは「おおむね1メートル以上のもの」で、1メートル以上のものが客室内部にあれば見通しを妨げるものとして補正が求められます(手続きが止まる可能性があります)。
ここでのポイントは「客室の内部」です。
客室の内部に1メートル以上のものがあってはならず、客室のすみにある場合には「見通しを遮らない」可能性があります。
例えば「1メートルを超えるカウンター」。
客室の端にカウンターがある場合には客室の内部にないため「客室内部において見通しを妨げるもの」とは判断されません。
見通しを妨げるもの、カウンターの高さについてより詳細を知りたい方は、こちらかご覧いただけます。
「見通しを妨げるものについて」
https://nextlife-office.com/2018/10/27/identity-of-things-that-hinder-the-prospects/
「風営法1号におけるカウンターの高さ」
https://nextlife-office.com/2018/09/05/height-of-counter/
不適切な写真・広告物・装飾等を設けないこと
風営法施行規則では
「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと」と規定されています。
例えば下記のようなものが善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真等として挙げられています。
- 法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告
- 著しく射幸心をそそるおそれのある広告
- 男女の性交場面を写した写真
- 売春を行っている場所についての広告
- 性器を模した装飾、回転ベッド、振動ベッド等の設備
客室出入口の施錠設備をもうけない
風営法施行規則では
「客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。」
とされています。
風営法1号営業では、店内に区画された客室がある場合、その客室について鍵やダイヤルロック、スマートロックなどの施錠の設備を設けてはいけません。
VIPルームについて施錠設備を設けたい、との相談が良くありますが本規定により設備の設置はできません。
客室であるため、それ以外の箇所(事務所、通路、トイレ、洗面上、調理場、待機質等)については含まれません。
また規定にある通り外部に直接通じる出入口については施錠設備を設けて構いません。
照度(5ルクス以下にならない)
風営法施行規則では
「第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。」と規定されています。
第30条には照度のは測り方が規定されていて、基本的にはテーブルの上にて計測された明るさについて5ルクスを下回ってはいけないこととなっています。
調光器(スライダックス)については、5ルクスを超えていても「そもそも設置されていることが認められない」というケースが多数あります。
そのため調光器等の設置された店舗については早めのうちに補修対応をする必要があります。
風営法1号における、調光器(スライダックス)についてより詳しい情報を下記からご覧いただけます。
「風俗営業や深夜営業のお店にスライダックス・調光器がある場合」
https://nextlife-office.com/2018/09/07/dimming/
騒音・振動(条例数値を超えない)
風営法では
「第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。」
と規定されています。
注意したいのは「入口のドアに隙間がないか」。キャバクラやスナック等が多く入っているビル等の場合は防音対策がなされていることが多いですが、以前は風営法1号以外の営業で会った場合(例:飲食店)、防音外柵がなされていないことがあり、特に入口からの音漏れケースが度々あります。
そのため、もし隙間がある場合や音漏れが大きい場合は音漏れ対策テープなどで隙間を埋めていきます。
具体的な騒音・振動については下記の記事にてご覧いただけます。
「騒音・振動の規制」
https://nextlife-office.com/2018/03/24/huzokueigyou-kyoka-regulation-of-noise-and-vibration/
よくある質問
- 以前スナックだった店舗であれば、風営法1号の構造・設備要件をクリアしている可能性が高く・安全と言えますか?
- 安全とまでは言えません。
スナックの場合、風営法1号許可を取得しないまま営業をしてきた可能性もあり、接待を提供していない飲食店として営業してきた可能性があります。そうすると、例えば「客室の内部が外部から容易に見通せないこと」といった要件を満たしていない可能性があります。また調光器(スライダックス)が設置されているケースが多いので、そのお店で開業準備を行っていただいてもかまいませんが、改修個所を明確にしつつ準備する必要がります。
- 客室について、どこまでを「客室」として指定しますか?
- 客室は「顧客が飲食や接待を受ける場所」です。
そのため種類の提供・接待を予定するエリアについて指定します。客室内部に見通しを妨げるものがないように指定します。
- カウンター席は「客室」に入りますか?
- カウンター上で飲食・接待の提供がある場合は客室とされます。
逆に、飲食・接待の提供はなく会計帳場てきな扱い等にとどまる場合は客室から除外されます。
- 仕切り(間仕切り、パーテーションなど)は客室内に置けますか?
- 高さに注意して客室内に仕切りを設置することは可能です。
見通しを妨げるものは「おおむね1メートル以上のもの」とされているので1メートル未満の仕切りであれば設置が可能です。
- イス・テーブルのレイアウトは風営法1号許可の発行後に自由に移動することはできますか?
- 基本的にはできません。提出した図面通りのレイアウトを維持する必要がります。もし変更する場合は変更届が必要です(変更した日から10日以内)。
- 風営法1号許可取得後に客室の面積を広くすることとなった時、変更届をすれば大丈夫ですか?
- この場合、変更手続きではなくあらかじめ承認申請が必要です。
許可が下りるか不安な方、店内構造を変更したい方へ
新たに風営法1号営業を行う際には、風営法の要件を満たす店舗を用意する必要がありますが、店舗の構造・設備が要件をクリアしていないまま申請手続きをすると、改修のための時間がかかるほか、審査期間も伸び、最悪の場合許可証が発行されないことも考えられます。
また既に風営法1号許可を得て営業をしている場合において、手続きを経ずに構造・設備を変更した場合や、風営法を確認せずに変更した結果要件をクリアできていない室内となった場合、最悪のケースでは営業停止など行政罰が付されることとなります。
次のいずれかに該当の場合は、お知らせください。
下記にいずれか当てはまり、どうしてよいか悩んでいる場合はお気軽にご連絡ください。
- 客室の範囲(どこまでを客室として扱うか)と、床面積の算定根拠が定まっていない
- 間仕切り、装飾、背の高いソファ等で、客室内の見通しが確保できるか判断がつかない
- 照度5ルクス(明るさ)の確保方法、調光の扱いをどう整理するか決め切れていない
- 個室・半個室に見える席を予定しており、区画の設計方針が固まっていない
- 客室の扉・鍵(施錠性)の扱いを、仕様として確定できていない
当事務所で対応できる内容
- 物件資料・現況写真・レイアウト案を確認し、課題(見通し/照度/床面積 等)を整理します
- 設計・設備の整理案を提示し、「どの仕様なら前に進めるか」を明確にします
- 申請先の警察署への事前相談に向け、説明に必要な資料と要点を揃えます
- ご希望に応じて、申請書類作成・提出まで対応します
ご相談時に共有いただきたいもの(写真で問題ありません)
- 物件の間取りが分かる資料(不動産図面、既存平面図など)
- 営業時間(予定で可)
- 予定する接客内容(接待の有無が分かる程度で可)



